第1章

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 どうしてこうなった……?  何を、何処で、どうして間違った……?  頬をぶつような強い屋上の突風に、俺は我に返らせられた。 「…………逃げたところで何も変わりゃしねえよな……」  あれほど自信に溢れてたとは思えないほど、弱々しい呟き……。  逃げ込んだのが、トイレでなくて良かった。  きっと鏡に映る自分に堪えられず、鏡を打ち砕いてただろうから……。  そんな場面を映画やなんかで見たことがあっても、正直リアリティも感じてなかった。ああ……でも、こういう気持ちだったんだろうな……。  …………俺は、とんでもないミスをやらかした…………。    実力主義のこの会社にあって、入社2年目からトップクラスの成績。  ちょっと天狗になってたのは認める。  けど、それが許されるだけの男だった。ま、それも昨日までのことだ……。  今朝、顧客のとこに寄ってから出社しようとしてた俺に掛かってきた部長からの電話。  Zランクの出頭命令……。
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