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一瞬、新しいプロジェクトの草案かと思った。
Zランクなんて悪い冗談だ……と。
もちろん、そんな甘い話なわけがない。
「……『調査報告書』…………?」
少し拍子抜けだった……。
何をどう調べられようが、俺に後ろ暗いところはない。少々強引な場合はあるが、許容範囲を越えるようなヘマをやらかすことはない。
だが、その報告書は俺に関するものじゃなかった……。
《篠田 さくら》
それは俺の恋人の名だ……。
だがなんだろう。こんなものに書かれてるだけで、偽名臭く見えてくる。
「あの……、さくらがどうしたって言うんですか?」
「……読めばわかるよ……」
部長はそれだけ言い、社長は俺と目を合わせようともしない。
俺に選択肢はひとつしかなかった……。
…………
…………
…………
…………
状況は深刻なんて言葉でどうにかなるものじゃなかった……。
結論から言えば、俺が関わり、把握管理していた顧客情報の詳細がライバル社に流れているそうだ。
俺が知ることのできる担当外の顧客情報も同じ。
しかも、それらの名簿が、闇ルートで売買されている形跡もあった。
その情報元が、俺と『篠田さくら』…………。
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