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「バカ……な……」
これが本当なら……いや、確実でないものを提示するほど、うちの社長は愚かではない。
これは、重大な情報漏洩だ。
会社に降りかかる損失は桁違い。もちろんそれだけじゃない。
これまで築き上げてきた顧客の信頼が音を立てて崩れていく様が目に見えるようだ。
「……調査員から、最後の報告があった……。
これらの状況はすでにマスコミにもリークされている」
部長の顔は、苦虫をまとめて噛み潰したように歪んでいた。
もはや、手の打ちようはないようだ……。
半年前に知り合っただけとはいえ、さくらのことはよく分かってるつもりだった。
親孝行でよく気がきき、本当に優しい笑顔の似合うやつなんだ。
実家の工場の経営が芳しくないことは聞いてたが、それでも必死にバイトに励んでた。
……俺の行きつけの本屋…………。
まさか、そこからもう計算されてたのか…………?
取り出したスマホのさくらの名前をタップする。
呼び出し音はするが、もちろん繋がらない……。
「……あ…………?!」
気付くと、社長と部長が俺を見てた。
上司の前で何やってんだ、俺は……。
「谷岡くん、その行動が演技でないことを祈るよ」
そう。俺にはスパイ容疑もかけられていた…………。
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