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ニュースが流れてから、会社は戦場になった……。
電話も鳴りっぱなし。押し掛けるマスコミ。もちろん俺のスマホも鳴り止むことはない。
謝罪の声と怒号が入り雑じり、通常業務なんてできるはずもない。
俺に突き刺さる社員たちの視線が痛い。
事態が収拾したら、もう俺の居場所はないな……。いや違う。事態が収拾する見込みさえあるのかどうか……。
◆ ◆ ◆ ◆
ようやく、少しだけ落ち着いたのは、夜中の1時……。
みんなの視線が恐くて、俺は屋上に逃げたのだ……。
手摺にもたれかかり、胸から煙草の箱を取り出した。新品の箱はボロボロになってた。
震える手でフィルムを剥がし、口にくわえる。
お気に入りのライターは何処かに置き忘れたらしい。
やむなくどこぞのスナックのマッチを手に取るが、手の震えと強風のせいで、一向に火はつかない。
「────ああ、くそっ!!」
短気は損気……。
そんな言葉が頭を過るが、どうでもいい。
俺が投げ捨てた煙草とマッチが暗闇の中に落ちていく……。
「……………………」
……………………。
……そうだな……、それが一番楽かもしれない…………。
俺はずっと、そんなことするヤツはバカだと思ってた。心の弱い軟弱者だと決めつけてた。
けど、それは本当のドン底を知らなかっただけ……。
幸い、うちのビルの屋上のフェンスは低い。
10階建てのビルの高さがあれば、途中で意識を手放せるかもしれない。
……フェンスに手をかけたとき、場違いなメールの着信音がした。
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