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いつもなら人で賑わう石畳の道もまばらに人が通り過ぎるだけ。
チョコレートショップやクリスマスストア、アンティークショップ等の建ち並ぶ通りを、それぞれの窓を目の端で覗きながら歩いて行く。
どの店も外観はツリーやリース、電飾で綺麗に飾られているが、窓の奥は暗く寒々とした雰囲気を醸し出していた。
途中、パブの前を通り過ぎる時にちょうど扉が開き、中から人が出て来た。
扉が開いた途端、ピアノのジャズを奏でる軽快な音と賑やかな笑い声が急に耳に入り込み、熱気がふわぁっと頬を撫でる。
思わず足が止まった。
まるでそこだけ別世界のようだ。
だが、扉が閉まった途端僕は現実世界へと引き戻され、降り出した粉雪の中を再び足を速めて歩き出した。
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