出逢い

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 石畳の道を過ぎると途端に華やかさは影を潜める。  伝統を感じさせる古めかしい国立総合病院の前を通り過ぎる。  その先には住宅街に抜けるための近道となる、ただベンチがいくつか点在する広場とも呼べないほどの芝のスペースがある。  遊歩道を無視して斜めに突っ切って歩く。  だいたい、遊歩道なんて雪に隠れていてもう見えないのだ。  雪に埋もれたベンチの中でただひとつだけ、人の形に雪の厚みが薄くなった場所があり、そこだけ僅かな温もりが感じられた。  街灯の先にある道を過ぎればもうすぐ家に辿り着く……そんな思いで街灯に視線を向けた途端......  僕の視線はそこに釘付けとなる。
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