0人が本棚に入れています
本棚に追加
それは奇妙な夢だった。
下も見えないほど高い塔の上で数十本の、人の大きさほどもあるキュウリが音楽に合わせて踊っている。自分は同じく塔の上で、ただ茫然とキュウリたちの踊りを見ている。
キュウリたちはどこからともなく聴こえてくる陽気な音楽に合わせて、ぐるぐると円を描くように回りながら踊り続けた。ひたすらに踊り続けるキュウリたちを眺めながら楽しそうだ、と思った。しかし塔の下を見ると下の方は暗闇に呑まれており恐怖を感じる。
自分はいったいどうすべきなのだろうか、どうにかすべきなのだろうか。
そんなことを考えながらも特に為すすべもなくキュウリたちの踊りを見続ける。
やがて唐突に音楽がやむ。
キュウリたちは踊るのをやめた。
1本のキュウリが近寄ってきて僕に話しかける。
「それじゃ、僕はサラダになってくるよ」
そうして塔の上からそのキュウリは落ちていった。やがてキュウリは塔の下の闇に呑まれ、見えなくなってしまう。
いや、お前話せるのか。そんな突っ込みを入れる前に、目覚ましが鳴った。
最初のコメントを投稿しよう!