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こんなにも短期間で人が変わったようになるには、何かの力が働いてるはずだと高雄は考えた。
効果の高い栄養剤か、大金でも舞い込んだのか、はたまた美しい女でもできたか、危険な薬にでも手を染めたのか。
栄養剤や女なら、それほどためらいもなく教えてくれるだろうが、大金や危険な薬ならそう簡単に口は割るまい。
高雄は原田の小さな変化も逃さないように原田を見つめた。
すると原田は口をもごもごさせた。
「秘訣って言われても、あれ、言っても無駄かもしれませんしね。強いて言うなら今まで頑張ってきた俺への神様からのご褒美ですかね」
原田から出たのは、高雄が予想した物のどれでもなかった。
しかも、神様のご褒美なんて、今時子供ですら言わないだろう。
やはり言っては不味い物、不法な薬物とかだろうか?
いや、それならこんな言い方をせずに最もらしい物を口にしてしっかり隠すはずだ。
高雄は次の一手を考えた。
「神様のご褒美か…いいね、神様の恩恵受ける原田くんに肖りたいものだ。そうだ、原田くんの都合のいいときにでも飲みにいかないかい?奢らせてもらうよ。そしたら俺にも何か良いことが降ってくるかもしれない」
「いいですよ、じゃあ明後日でもいいですか?」
訝しがられるかと思った高雄だが、調子のいい時の人間はその調子のよさ故に割と簡単に事を進める。
高雄にとっては有難い事であった。
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