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「待たしたすね。ごめんさい」
「良いわよ。帰ろうって誘ったの私なんだから」
「寒っ」
「もう冬も近いし、そりゃあそうじゃない」
「冬は嫌いす」
「少なくともきりりんは好きじゃあ無さそうね。その様子じゃあ夏も嫌いなんでしょう」
「まあ、好きじゃあ無いすけどね」
「そう。其れでどうしようかしら」
「何がすか?」
「いえ。相談の事よ」
「あー。クラスのアイドルでしたっけか」
「……ええ」
「本気なんすかい?」
「……何がかしら」
「友達作るとかならまだしも、クラスのアイドル目指すとか冗談にしか聞こえないんすよね」
「そうかしら」
「其れを俺さんに相談するのも違和感しかないし」
「そう、かしら」
「そもそもあんな時間まで学校に残ってまで俺さんに相談するってことも」
「……そう、かしら」
「そう言えばジビエ……ウサギの事も知ってたしね」
「……」
「何の為にーー」
「……っ」
「ーークラスのアイドルになんてなろうと考えたんすか?」
「きりりんが好……あ、え?」
「え?」
「え?、あ、今なんて?」
「へ?さっきから言ってるじゃないすか。俺さんのなんかの力添えまでして何でクラスのアイドルなんて目指してるのかって」
「あー。……まあ、うん。そうよね。うん。……其処は何で自分に相談したかを尋ねるべきでしょう」
「……?」
「いえ。なんでもないわ。そうね。何故クラスのアイドル目指すかって。そんなの、まあ……」
「まあ?」
「……秘密。今度教えるわ」
「えー。そんな殺生な」
「大丈夫よ。いつかはちゃんと教えるから。ちゃんと、ね」
「……気のせいか寒気が」
「気のせいよ」
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