雪の文通

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外では、未だ降りしきる雪が世界を覆ってゆき、白銀の世界を創り出す。 それとは対照的に、今俺がいる場所は暖かな、安らぎの世界だ。 暦は冬の候を迎え、年の終盤も近い。 だが、俺の仕事は一向に減らずに、休みの日は今こうして十時に起床する有様だ。 昨日はかなり疲れて帰宅したのだろう。この季節の中ソファーで寝てしまうほど、疲れる職種なのだ。 無論、毛布一枚は着て寝たが、起きるともう一枚追加されていた。 それに、起きると部屋全体が暖かく、目の前のテーブルには質素だが朝ご飯が用意されている。 お礼を言おうかと、辺りを見回したが、あいにく誰もいなかった。 全体が木で構成された、俺たちの巣であるこの家。 二人暮らしのため、そこまで大きくはないが、それでも立派なログハウスだと自負している。 だが、それもあと数ヶ月で終わる。 今、妻のお腹には第一子となる命が宿っているのだ。 仕事こそ忙しいものの、日に日に大きくなる我が子を見ると、辛くても耐えれる。 それが、今の俺の幸せだった。 まだほのかに暖かい飯を、唸る胃に突っ込む。 やはり、妻の飯はいくら質素でも美味しい。疲れの残滓を吹き飛ばしてくれたような気がした。 元気をもらった俺はおもむろに立ち上がり、結露のできた窓へ向かう。 そして、子供よろしくその窓に文字を書く。 “雪乃 Happy birthday”と。
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