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「準備はもういいのか?」
見ると、テーブルには飾り付けもしてあるし、クラッカーも置いてある。
窓には俺が書いた文字とともに、クリスマスにちなんだシールまで貼られており、俺が手を出せるところは既になくなっているように思う。
「うん、だいたい終わってるよ。あとは細かいとこの掃除と……雪かきくらいかな?」
「そうか、なら雪かきやるよ」
「いやいいよ。屋根だけだし、私がやる」
……また仕事を取られてしまった。
だが、我が家には電熱線を這わせてありその溶け残りをどけるだけだ。
そして俺はほとんど仕事で、日中は家にいることができない。
そのため普段の雪かきは雪乃に任せっきりだった。
雪かきとて屋根に上るため、多少の危険が伴う。ここで優先されるのは力より慣れのため、仕事を奪われるのは道理かもしれない。
だから俺もこれ以上は首を突っ込まないことにし、さっき入れたホットココアを口にした。
雪乃も今すぐには動くつもりはないようで、俺と同じようにホットココアを啜った。
ーこうして無言でいると、一つのデジャヴが頭に蘇った。それを手繰り寄せると、そこにはずっと相談したかったものを見つけた。
「雪乃。これ見てみて」
俺が出したのは、一通のメールだった。
「……イタズラメール?にしても変だね」
ーそう、そこには一見イタズラメールのような『自殺しろ』の四文字が書いてあった。
だが、雪乃が変といったように、脅迫に似せたメールならばわざわざ自殺しろとは書かないはずだ。
そしてさらにもう一通、雪乃に見せる。
今度は一瞬で認識できるほど短い文ではなかった。
そこには、『自殺しろ』のメールについての細かな説明が書いてあったのだ。
『昨日遅らせていただいたメールは今から一年後の自分からのメッセージです。さらにもう一年前に送りたい場合はこのメールに返信してください。なお、返信する際には次のような条件があります。
・一年前に遅れるのは一回のみです。
・送ることができるのは五文字以内になります。
・過去に干渉する場合、失われる命は変えることはできませんが、命の譲渡のみ認めます』
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