第1章

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雲がどんよりと広がり、桜の季節だというのに凍てつく風が吹き抜けていく。 朝靄の湿った空気の中、無機質なビル群の所々にドス黒い噴煙が上がり、紅く炎をちらつかせているところもある。 いたって街は静かである。 ーーーあぁ、私の選択は間違っていたのか? 高台から見下ろす異様な風景は私にとって最良の結果だというのか? 下から吹き上げる風に漆黒のストレートロングの髪を靡かせ、白い端正な顔立ちを複雑な感情で歪ませる。 ひょっとしたら、もっとマシな世界が見れたかもしれない。 あの時もっと真剣に考えていれば、こんなことにはならなかったかもしれないーーー。 全ては3年前に届いた5年後の自分からのメールだった。
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