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ゴホッ……ゴホッ……
体を丸め、嗚咽混じりの咳を繰り返す私の目の前がパッと明るくなった。
乱れたシーツ、かろうじてベッドにぶら下がるネクタイ、涙に濡れ不愉快に張り付く髪
全てが惨事を物語る。
ギシリと軋んだベッド。
振り向かなくても彼がそこに座ったのだとわかり、身体がビクッと震えた。
「大丈夫か……。薬を……持ってこようか」
よくも、そんな事が言える
生まれて初めて
矢野くんに敵意を感じた瞬間だった。
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