第二章

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ゴホッ……ゴホッ…… 体を丸め、嗚咽混じりの咳を繰り返す私の目の前がパッと明るくなった。 乱れたシーツ、かろうじてベッドにぶら下がるネクタイ、涙に濡れ不愉快に張り付く髪 全てが惨事を物語る。 ギシリと軋んだベッド。 振り向かなくても彼がそこに座ったのだとわかり、身体がビクッと震えた。 「大丈夫か……。薬を……持ってこようか」 よくも、そんな事が言える 生まれて初めて 矢野くんに敵意を感じた瞬間だった。
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