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~プロローグ~
時々思うことがある。
「あっ、あんっ……そこっ……良いッ……藤、真っ……んうぅっ……!!」
「っ………………」
俺の上で蛇のように長い髪を振り乱し、うめき声のような吐息を吐く
この女は誰なんだろう……と。
そんな時は目を閉じて……
不規則に軋むベッドの音に集中する。
それが、別の音でもいい。
テレビでも、音楽でも、工事現場の騒音だって。
意識を逸らす事さえ出来れば……それでいい。
「柊子……こっち」
腰をこれでもかと打ち付ける彼女の手を引いて、ベッドに横たわらせると
高揚に染まる頬、虚ろな目が俺を真っ直ぐに捉えた。
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