第一章

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「店長ッ!!本当にすみませんでした……!!」 フリルが淵を囲む白のエプロンを握り締めながら頭を下げる。 店長はレジをカシャッと閉めると、深い息を吐き出して私を見下ろした。 ポマードの香りがツンッと鼻を通り抜ける。 「橋下君は気が利くし、勤務態度も良好。残業だって嫌な顔せずに引き受けてくれて……よく、頑張ってくれていると思う」 「店長……」 目尻を細くした店長の我が子を見守るような瞳に、目頭がうるうると熱くなるのを感じた。 「デ、モ、ネ、」 「へ……」 「クビ。この一ヶ月君のせいで払った慰謝料いくらだと思ってるの?大赤字だよ」
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