第一章

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「橋下那緒(はしもと なお)さん。診察室へどうぞ」 「はいっ」 受付の女性がニッコリと微笑んで、木目張の扉の方を指し示した。 彼女の笑顔にはいつも癒される。 職業上そうするように指示が出ているのかもしれないが……、私は信じて止まない。 彼女は心の底から患者の回復を願う、仏のような人間なんだと。 「こんにちわ、橋下さん」 「こんにちわっ……!」 「ふふっ……、元気そうですね」 「お陰様です」 扉を開けるとそこは全面ガラス張りの開放空間が広がっていて、暖かい外の光が溢れている。
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