第一章

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「……それで、手が重なって……ガッシャーンと……」 「いるわよね、そういうスケベジジイ。私もよく痴漢に合うんだけどね?その時はヒールでガツーンっと……」 「麗さんっ……!!」 「ごめん、ごめん。なんっか、那緒ちゃんといると気が抜けちゃって駄目ね!」 麗さん、笑いすぎです 「……それで、またクビに……。店長にも言われたんです。対人恐怖症とかその類いがあるなら病院に行けって……。面接の時にそれを申告しないのは詐欺だよ……とも」 「そうねぇ……、店側の意見も一理あるわね。那緒ちゃんが抱えているのは、過去に受けた心的ストレスが男性への恐怖を植え付けるPTSDの一種。異性に対しての過度な緊張、恐怖、嫌悪感。これは、何度も説明したからわかると思うけど……。治療法としては催眠療法、それをきっかけに鬱病ともなれば投薬治療なんかが主だって来るわ」 「せ、先生……。やれば出来るじゃないですか!!それです、それ!!この二年間はただのお茶会かと思っていました……」 「フフっ。先生はやめてったら。それに、話し合いは一番大事なことよ?だって、心の傷は目には見えないんだから」 「……麗さん……」
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