第二章

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グラスに注がれた水を一口ゴクンっと飲み込んだ。念のためにと処方されている抗うつ剤には手をつけない。即効性は無い……と、麗さんが言っていたから。 発作が落ち着けば、思考も冷静を取り戻した。 「……なんで……」 頭に浮かんだ言葉が、スッと口を割って出る。 ベッドに座ったままうつ向く矢野くんは、自らの膝の上に投げ出した手を凝視しているようだった。 少しの沈黙の後、静かな声 「……那緒が……望んだから」 その声には……怒りがこめられていた。 「私っ……は……、こんな事……」 「いいや、望んだ……。俺にっ……那緒を傷付けた男共と同じ事をするよう望んだんだ!!!」
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