第二章

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矢野くんの顎先を伝い、怒りを押さえ込み震える手の甲の上、ポタリと雫が落ちた。 彼も私の方を見ようとはしない 私も……彼の顔を見上げる事が出来ずにいた。 「どうして……わからない?何故、何かを変えようと生き急ぐんだ……。俺は……那緒がそのままでも構わない。こうして……、側にいられるだけで十分だ……」 「だって……、私は矢野くんに触れたい。皆と同じように、手を繋いで、キスをして……そんな風にっ……」 「……そうしなければ……、俺といる意味はないと……?最低な連中共の真似事を俺にさせてまで、そうでもしなければやっていられないほど辛かったか?」 「違うっ……!!!そんなんじゃ……」 彼の肩に伸ばしかけた手が空中で止まる。 私を見て、こっちを向いて…… お願いだから……
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