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教室の戸を開けたら、そこには温泉がーー
* * *
胸を張って咲き誇る桜を見上げ、ため息を吐く。
どいつもこいつも浮かれた顔。
うんざりだ。
期待なんかない。するだけムダだ。
中学と同じ、ツマラナイ3年間が始まるだけ。
校門を入ると、人だかりができていた。
俺と同じ新入生だ。
笑ってるヤツ、戸惑ってるヤツ、キャッと目を覆う女子もいる。
興味は全くなかったが、ここを通らないと校舎に入れない。
ため息を吐き、立ち止まる生徒を押し退けた。
そこにいたのは、上級生2人だ。
俺の足も止まった。
裸だ。
2人とも裸だ。
裸で子供用プールに入っている。
腰には白いタオルが巻いてあるから、完全なる裸ではなかった。
こいつら、何者だ?
「ようこそ温泉部へ!」
「入部希望用紙にサインするまでとおさないぞ~」
側には、うさぎの着ぐるみが「新入部員募集中!」のプラカードを持って立っている。
子供用プールを温泉に見立て、温泉部を新入生にPRしている。
新入生をターゲットにした、ゲリラPR作戦だ。
体に稲妻が走った。
な、なんだ……この感覚は……この感覚は何なんだ。
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