エクストリーム温泉男子

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「みんな揃ったね。会議を始めるよ」 座卓を囲み席に着くと、部長が会議を始める。 「前回のYouTubeの反響をまとめた結果なんだけど」 沖守先輩がプロジェクターで壁に投影する。 「YouTubeですか?」 「僕らユーチューバーなんだ」 「な、なぜ!?」 「温泉を掘るのはお金がかかるんだよ」 「掘る? ま、待ってください。掘るんですか?」 「温泉を掘る。それが僕ら温泉発掘部だよ」 「温泉発掘部!?」 ドアのネームプレートのタオルが外れ発掘の文字が現れる。 「温泉に入ろうにも掘らないと入れないしねー」 「何でですか! あれだけ温泉あるじゃないですか!」 俺はジオラマを指す。 「あれは未来予想図だよ。ここは日本一温泉がない県なんだよ」 知らなかった!? 「でも掘るって無謀過ぎます。温泉が見つかるとは限らないじゃないですか。そもそもないかもしれないし」 部長は笑顔を浮かべ、穏やかに話す。 「何かが起こってないからといって、それが不可能というわけじゃないだろう」 「温泉がないなら僕らが発掘すればいい。これは僕らの宿命なんだ」 か、かっこいい! 部長の言葉が胸に刺さる。 「そのためには資金が必要なんだけどね」 俺はスクリーンを見た。 「反響、これだけですか? 猿の入浴見たほうがまし。バカ集団だ……コメント全部悪口じゃないですか」 「そうだね」 「……どんな動画だったんですか?」 「村山くんにも見てもらおうかな。率直な感想きかせて」 スクリーンに映し出されたのは、部長と江頭先輩の入浴シーンだった。 「これだけですか?」 「これだけだよ」 「いい感じなのにー。何がいけないのー?」 「そうだね」 「露出が少ない。物足りない。この程度では目の肥えた視聴者は満足できない。放送コードギリギリのラインまで見せろ。いや放送コードがなんぼのもんじゃい」 あんたそれでも教師か! 「じゃあ次は入った瞬間タオル放り投げるとかー。V字開脚はー! 楽しそー!」 「そうだね」 話しが変な方向に進んでいる。 このまま露出狂集団になるのは嫌だ! 「あ、あの」 「村山くん何かいいアイデアある?」
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