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最期に思ったのは私の短い人生だった。
立派な思い出などありはしない。私、いや私を含めた一族は、いたる所で人々に蔑まれ、嫌悪される。そんな存在だった。
行く先々で追い立てられ、まるで汚いものを見るかのような目つきで睨まる。
そして、畏怖の対象として殺されることも多々あった。
…私たちが何をしたというのか。生まれてきたことが大きな過ちだというのか。これが一族の宿命だというのか。
だが、その苦しみから解放されるときがついにきたようだ。一族の名に恥じぬ生き方を。そう思ってきたが、こんな惨めな死に方では笑われてしまうだろうか。今まで散々強がってきたが、いざ死を目の前にすると弱気になる。
―――できることならば、今度は違うものに生まれ変わりたい。
頭の片隅でそんなことを考えながら、私はついに全身の力を抜いた。もう抵抗する気力も残ってはいない。不快な異臭が和らぐと同時に、死の足音がすぐそこまで迫ってきていた。
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