眠り続けていた過去

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でも____ 「…… ない。」 段ボールの隅から隅まで探したのに結局、手紙は見つからなかった。 どうしてだろう。 それが運命ってこと…? なぜだかわからない。 気付けば、わたしの目から熱いものがわたしの手の甲に落ちた。 「あれ、…。どうしてだろう。」 慌ててその甲でそれを拭ったが後から後から溢れてきて、何か留め金が外れたようにわたしは泣きじゃくっていた。 その手紙が、また、わたしとリュウを繋げてくれるたったひとつの手がかりだったかもしれない、と強く信じていたから。 その手紙に全ての希望を託していたから____。 もうきっと、わたしの道とリュウの道は交わることはないだろう。 わたしが前を向くには、それを受け入れるしかないのかもしれない。 「…そっか…。 忘れてくれって、そういうことか。 ごめん、リュウ。 もう忘れるから…。」
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