2人が本棚に入れています
本棚に追加
夢の中で
わたしの、小学生のときの初恋の話をしよう。
その子はとってもスポーツ万能で、ルックスも良く
て、クラスの人気者で勉強を除いては、完璧な存在だった。
家が近所だった私たちはすぐに仲良くなって
放課後は毎日、休日さえもわたしはリュウとよばれるその男の子と時間を過ごしていた。
「ねえ!ソラ、あそぼ!」
そうやってリュウはいつでも屈託のない笑顔でわたしを迎えに来てくれる。
そんなリュウにわたしはいつしか恋心を抱いていた。
「今日はどこで遊ぶの?」
わたしはいつもの調子で、リュウに尋ねると
リュウも、うてば響くように
「いつもの階段! 」
そう言った。
わたしたちは「いつもの階段」と呼ばれる、リュウの住むアパートの隅の小さな階段でいろんな話をした。
今日あった楽しかったこと、悲しかったこと、クラスメイトの話…
「リュウ知ってる?クラスのハルってケイタのこと好きなんだって!」
「まじ?? え!ケイタもハルのこと好きって言ってたぞ。」
「いいなあ、2人とも両思いじゃん。」
ただそんな話ばかり。 だけど、そんな幸せな時間が
わたしにとってはとても心安らぐ時間だった。
____わたしの居場所はここだけだと思ってた。
最初のコメントを投稿しよう!