始まりの朝

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始まりの朝

__ 朝が来た。 昔の夢を見たような気がする。懐かしいような、思い出したくなかったような、そんな複雑な気持ち。 高校一年になった私は、あの夢の中にでてきていたわたしと、何一つ変わっていなかった。 「リュウ・・・。」 小学生のころいつも一緒だったリュウとはどことなく疎遠になってしまっていた。 同じ地元の高校へと進学した私たちは、何があったわけでもないのに言葉さえ、交わすことがなくなっていたんだ。 目が合っても必ずそらすかそらされ、そんな毎日が続いている。 「はぁー。 それで?まだ好きなの?ソラは。」 お昼休み、口いっぱいのおにぎりをほおばる私にクラスメイトのヒナが尋ねた。 「んー、まぁどっちかって言うとおかかのほうが好きなんだけどね。梅も悪くないよ?」 「・・・っておにぎりのはなしじゃなくって!!  安西のことだよ!安西リュウ! なんだかんだでもう6年でしょ?仲良かったときから。 なんかあんたら見てるとじれったいって言うか、どうしようもないって言うか。  はっきりしなさいよ!・・・・もう。」 案外はっきり言うヒナの言葉に少なからずびっくりした私はおにぎりをおもいいきりのどにつまらせた。 「はっきり言うなぁ、ヒナは。  でもさ、気まづくなったこと、実は気にしてるのはわたしだけでリュウはそんなこと気にしてないと思うんだよね。っていうか、無かったことにしたいくらいだと思うんだよね。」 だって、今の私たちじゃ何もかもがちがうから。 リュウは多分、あのころのリュウとはちがうから。 リュウはわたしと違ってきっと前に進んでいるから。
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