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現実世界のとある家。
その一室で一人の少女が溜め息をついていた。
「あー……なんでこんな面倒臭いことしないといけないんだろ……」
少女はそう言いながらも、目の前にあるスーツケースに服や洗面用具を手際よく詰めていく。
スーツケースには『ユイカ・E・フィンスターニス』と書かれたタグがぶら下がっており、数分すると閉められ鍵が掛けられた。
「よし、これで大丈夫。後はこれを廊下に出しとけば、っと……」
少女――ユイカが重そうなスーツケースを持って部屋を出ようとした。
『護……ユ…イ……』
「……!?」
突如聞こえた声に立ち止まると辺りを見回す。
だが近くには誰もおらず、家族はリビングでくつろいでいるはずだった。
ユイカは一度深呼吸をすると、床に置いた荷物を再び持ち上げた。
『守護……ユイ…カ……!!』
ハッキリと聞こえた声に驚くと、重力が消えた感覚と共に彼女の意識は途切れてしまった……
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