モーリス・グリーン

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 そんな日々の中で、僕はあんな風に自由に体を動かせる人を、羨ましく思った。  尊敬した。  僕はきっと、一生あんな風に体を動かすことは、ないのだろうから。    でも、僕の背中にも羽が生えた。  今僕は、自由に体を動かすことが出来る。  前にも後ろにも、右にも左にも、下にも、上にさえ、車椅子無しで移動できる。  それはなんて自由。  なんて快感。  これを僕は求めていたんだから。  眼下には僕の両親の姿が見える。  病室の窓際のベッドの脇で、担当医と話をしているお父さんとお母さん。  そして、ベッドの上の布団のふくらみの上に乗っている、僕の友達。  ……寂しいけれど、僕は行かなくちゃ。  僕の背中の羽がいうんだ。  次の世界が、待っているって。  さよなら、  僕は一言だけその病室に別れを告げて、旅立った。  友達が一瞬だけ、こちらを見た気がした。
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