第1章

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渋滞の車列をやっと抜け、車がスムーズに走り出した時、スマホにメールの着信があった。 会社からのメールだと思い、件名だけ見ておこうとスマホを手に取り、件名に目を走らせる。 何時もなら件名だけチラ見して運転に意識を戻す筈が、件名のおかしさに思わずスマホの画面に目を奪われてしまった。 件名にはこう書かれていた。 「3年前の俺へ」 件名のおかしさに文を読み始めた俺の耳に、後続のトラックが鳴らすクラクションが響く。 クラクションの音に驚き、スマホから目を離し前方を見る。 前を見た俺の目に、渋滞で長く延びている車列の最後尾に停車している、ダンプカーの姿が映った。 ブレーキを踏む暇も無く、俺が運転していた車は、ダンプカーの車体の下に潜り込むように激突する。 次に意識を取り戻したとき俺は、身体中にチューブとコードを繋がれベッドに寝ていた。 ナースコールで駆けつけた、医師と看護師から受けた説明により分かった事は、俺は事故のあと意識不明になり、3年間昏睡状態であったとの事である。 意識が戻ったのは奇跡だとさえ言われた。 俺はいま社会復帰の為に入院したまま、リハビリを受けている。 歩行訓練のリハビリを終え病室のベッドに戻って来た俺は、3年前の俺に警告のメールを送った。 「3年前の俺へ。 車の運転中は、絶対にスマホを見るな!!」
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