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手がかりひとつ見つからず、たどりつけない茉莉花。あるいは、もしかしたら、彼なら彼女の消息を掴めるのではないか?
慎は言った、「君に頼みたいことがある」
眉間に縦皺を刻む木幡に構わず続ける。
「人を探している。あらゆる手を尽くした、金も使った、それでも見つからない」
「死んだのではないですか」
「そんなはずはない!」慎は声を上げた。
「彼女は生きている、今も変わらず」
「女ですか?」
木幡は即応する。しまったと思ったがもう引き返せない。
「そうだ、女だ」
「金を使ったということですが、行方はわからなかったのでしょう?」
「ああ。彼らは言っていた、最近の消息がはっきりしている女性が、生死も含めて全くわからないということが理解できない。まるで神隠しか、意図的に隠されているとしか思えないと」
「神隠しですか」木幡は、鼻面を形のよい人差し指で掻いて言う。
「私は神も仏も信じませんが、隠蔽されていると言うことでしたら、理解できます。あるいは」
「あるいは?」
「蛇の道は蛇と言います。同業相手に何らかの働きかけをなされたということなら、手を退かざるを得ない立場に追い込まれることもあるでしょう」
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