第1章

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 分かっているよ、とでも言いたげにほほえみかけられながら、ジ―ンズ越しにぴったりとくっついた腿のあたりをそっとさすられる。ただそれだけなのに、微かな痺れが全身をさっと伝う。 「夢みたいだね、朝まで一緒に居られるなんて」  どこか甘くくすぶった余韻を込めたその口ぶりに、さっと胸が泡立つ。揺れに乗じたふりをしてそっと肩に身体を預けるようにもたれかかり、握る事が出来ない指先を眺めてぐっとため息をかみ殺す。  同じだ、きっと彼も同じだ。あんなにずっと離れていたのに、まだ触れる事が許されないけれど体温も吐息もその全てがすぐ側にある。その先に進むことを求めてくれている。嬉しいのに信じられない。息が震えるのをこらえて、平静を装うのに必死だ。  荒い息遣いと吐息の熱さに震わされるのを感じながら、性急に互いの服を脱がし合う。早く布地越しなんかじゃなく直接肌に触れてほしい、素肌を伝う熱がほしい。そう思うのに、指先が震えてボタンを外すのにすら苦労する。もっとほしい、もっと繋がりたい。  体重をかけるようなキスの後、熱の籠もった息を吹きかけるようにしながら耳朶や首筋に口づけられると、こらえきれずうわずった吐息が唇からこぼれる。軽く歯を立てられると全身がぞわぞわ甘く痺れて、血が逆流するように熱くなる。こらえきれずに差しのばした掌であの頃よりもずっと大きく逞しく感じられるようになった背中をなぞり、筋肉の流れを辿るようにしながら掌に力を込めると、少しずつ滑り落ちていく唇と舌の先が、喉仏や鎖骨、首筋を這うように伝い、まるでその形を確かめるように丁寧に口づけを落としていく。
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