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僕が歩いていると、後ろから声が聞こえた。
「センパーイ!!」
「ん?」
後ろを向くと、なんと、陸海君が大きく手を振っている。
近くに人はいない。
あぁ、僕を呼んでいるのか。
「陸海君。今日から学校通うの?」
「はい!もう最初から、入学準備出来てたんで!!」
「そ、そうなんだ……」
つい、陸海君の気迫に押されて、引きぎみになっちゃったな……
「センパイ!学校まで一緒にいっていいですか?」
「え?いいけど…」
「しゃあ!」
え!そんなに喜ぶことかな?
色々疑問はあったけど、気にしないようにして、僕達は歩き出した。
~五分後~
「センパイ、ありがとうございました!!」
「いやいや、僕はなにもしてないよ」
「またまた~♪そんなこと言って~」
「……」
僕が反応しないでいると、何かを察したのか、ようやく静かなった。
「それじゃ、センパイ、また後で…」
「?う、うん。また後でね」
そう言って、自分のクラスに向かった。
……何かおかしかった…
最後、別れるとき…
『また後で…』
って言ったときの表情…怪しい感じが……したような…しないような……
まぁ、いっか。
僕は、気にせずに歩き出した。
教室についた。ガラッ…
「あ!由宇夏!!おはよー!!!」
「うん。おはよう」
「なぁなぁ、聞いたか?!今日、転入生来るらしいな!!」
「あー…うん。聞いたよ」
「かわいい子だといいな!」
「いや、男の子だし、学年いっこ下だし…」
「え!マジか~。ていうか、何で由宇夏は、その事しってんだ?」
ギクッ
「あ、あ~。と、友達に聞いて…」
「ふ~ん…」
何で嘘をついてしまったんだろう。
普通に、同じアパートに住んでるって言えば良かったじゃないか!
……友達に嘘をついてしまった。
これはもう、友達と言えないのだろうか。
「………」
「…ん?由宇夏?」
「………っあ!な、何?」
「いや、ボーッとしてたから…」
「あ、ごめん。」
「いや、いいけど」
はぁ、ボーッとしてたかな?
でも、そういうのに気付いてくれる……
それこそ友達……だよね。
僕はことあと、陸海君の事、友達に嘘をついてしまった事を忘れるかのように、充実した一日を送った。
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