1「チーム・パイオニア」

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 国際連合異次元研究開発機関(UNDD)の研究施設では、六人ほどのチームが集まっていた。それぞれがUNDDの開発した白黒のパワードスーツで全身を覆っていて、胸部にはギリシャ文字のΑ(アルファ)からΖ(ゼータ)までが刻印されている。  用意された待合室の中、Ζが刻印されたスーツの男が、息苦しそうにマスクを回転させていた。 「通気性が悪いと思わねえか? UNDDってのは使用者の意見を取り入れてくれねえのかね……ノブヒロ、どう思う?」  ゼータは、小柄なΓ(ガンマ)のスーツを着た日本人の男に向かって言った。それに対し、Δ(デルタ)が怒気を孕んだ声で言う。 「ゼータ、このスーツを着た時点で我々は作戦行動中だ! せめて共有回線ではコードネームで呼べ」  ゼータと呼ばれた男は、反省していないような生返事をしながら、手をひらひらさせていた。ガンマはおどおどして二人を交互に見ている。 「カッカするなよ、赤ら顔。気楽にいこう」 「お前は気楽すぎる。少しは真面目になれ」  デルタの語気が強まり、だんだんとヒートアップしてくる。ゼータはデルタのそのマスクの内側にある身体的特徴を貶め、デルタはゼータの素行を貶める。ガンマは二人を見て、仲裁をしようとするが声をかき消されてしまう。 「おい、サンタクロース、プレゼントの準備は終わったのか?」 「ゼータ、それ以上口を開くな」アルファが二人の間に割って行って助言する。  デルタは完全に怒りで周りが見えていないのか、アルファを押しのけてゼータの肩を掴んだ。ゼータはまだまだ反省していないようで、大きな声で 「クリスマスモード・オン」  と発すると、パワードスーツの至る所から赤と緑の光が溢れだし、クリスマスソングが大音量で流れ始める。その場の全員が唐突な騒音に、マスクの内側で顔をしかめた。 「ゼータ!」とアルファが、恐る恐るデルタの方を見ながら言う。 「エルネスト……!」とガンマが、ゼータの名前を困ったように呟く。 「…………! …………」  怒りで真っ赤になったデルタがゼータに殴りかかろうとしたとき、間に今度は女が立ちふさがった。
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