1「チーム・パイオニア」

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「ああ、パイオニアの皆さん。お待たせして申し訳ございません」  舌打ちをとがめる様子も無く(マスク内の音声は意図しなければ外部には漏れない仕様になっているので当たり前なのだが)、彼は申し訳なさそうに頭を下げた。六人はその姿を認めると、一人ひとり後ろ首についていた、スーツの充電機器である長いコードを取り外し始める。白衣の男はそれを待ってから、扉の向こうに行くように促した。  チタン製の一直線に続く廊下を行くと、直ぐに巨大な扉が現れた。四メートルほどの重厚な金属製で、左右で噛み合っている。白衣の男がカードキーを差し込み口で滑らせ、タッチパネルに暗証番号を打ち込むと、ゆっくりと音を立てながら開いた。  厚みのあるドアの向こうには、広大な空間が広がっていた。全面を白い防壁で覆われていて、様々な機材が乱立している。理論物理学者でもあるアルファには、一見では分からないものが多かった。もしかしたら、UNDD異次元開発部出身のベータなら分かるのかもしれないと彼の方を覗くと、特に何かを想う風でもなく淡々と歩く様子が視界に映るだけだった。  白衣の男に先導され、幾つかの背の高い機器の傍を潜り抜けると、部屋の中央が良く見えてきた。  そこには、鎮座する巨大な金属の環があった。呆れかえるほど煩雑としているその空間で、環の周辺だけが異様な程綺麗に片付いている。床から二メートルほど離れた場所で台座に設置されており、その底面のそばまで、まるで桟橋のような金属の板が伸びている。  異彩とも言える雰囲気を放っていた。 「あれがゲートか……」  デルタがぼそりと呟いた。 「何だ? 怖気づいたのか?」  ゼータが茶化すと、ガンマが彼の肩を小突いた。「またアルファに怒られるよ」 「これから俺たちが行く所は未知の領域なんだから、あんまり喧嘩するなよ」  アルファがそう続けると、デルタもゼータも、それ以上は続けなかった。  白衣の男は六人に向き直ると、説明を始める。 「あれが世界間移動装置、通称“ゲート”と呼ばれるものです」  そう言って、やはり円環を指さした。デルタとベータ以外の四人も納得の様相である。
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