序 章 秋月

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 天下泰平の時代?そんなバカな事を言っているのは大きな城に住むお偉いさんだけだ。私は今、この一瞬自分の命を賭けて駆け抜けるしかないのだ。  秋月村、日の本の西の果て森の中にひっそりと存在していた忍の隠れ里。  今は朽ち果て廃墟となった砦、かろうじて雨風がしのげる民家があるだけだ。 『私の名は秋月白夜、秋月の名を使わせて頂きます』  白夜は父親の眠る墓石の前でそっと呟く。なぜ自分は生き延びたのだろうか、自分独りを残して壊滅した村‥何が起こったのかは誰もわからない。  
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