ちいさなわんこ

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 昔むかし。この世界にはにんげんがいた。にんげんと犬は仲良しく暮らしていた。いい仲間だった。とても好きだった。いっぱい撫でてくれた。いっぱい抱きしめて貰った。ご飯をくれて、いつでも一緒だった。  いつだろう、にんげんがいなくなったのは。  犬(おれ)達はさびしくてさびしくて。何日も泣いた。  探して、探して。  それでもにんげんは見つからなかった。  おれ達は考えた。  もし、いつの日かにんげんが帰って来てくれたなら、その時には、おれ達がわかるように。にんげんがくれたこの形を守らなきゃいけないって。  人間がおれ達にくれたこの姿──血統。  おれ達は今でも、それを守っている。
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