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すーって、目の前に水の入ったコップが差し出された。
「あ、ありがと」
ごくんと飲んで、それが目の前から差し出されたってことに気がついて、さあっと顔から血が引く。おそるおそる目をあげると、黒髪の影虎くんの前からコップが消えている。
うわ、影虎くんの水、飲んじゃったよ。
「あっ、あっ、ごめん、ごめんね。今、新しいの……」
立ち上がった拍子にカリカリの入った皿がひっくり返る。
テーブルの上にころころカリカリが転がった。
「わあ、」
何やってるんだ、オレ。ばらばらと広がったカリカリを集める。ああ、何個かテーブルから落ちちゃったよ。オレの貴重なご飯が。
慌てて皿に広がったカリカリを集める。
「ごめんね、ごめんね」
すうって手が伸びてきて、ころんころんと皿にカリカリを置いてくれる。ああって思って目をあげると、影虎くんが立ってカリカリを拾っては皿に入れててた。なんかすごく早い。転がってるのをひょいひょいつまみあげてる。
「あ、ありがと」
頷くと影虎くんが元の席に座った。
早く水を持ってこな……ふと見た影虎くんのAランチ、つまり100%牛肉ハンバーグの上にあるのは、あれは……オレの、カリカリ?
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