819人が本棚に入れています
本棚に追加
思った瞬間に、中虎くんがざらざらって一気にオレのカリカリを口の中に流し込んだ。
うわぁあああああ。オレの、オレのごはんがあああああ。
がりがりってものすごい音が中虎くんの口からする。
オレ、そんなにいっぱいカリカリ口の中に入れたことないんだけど、ねえそれ、どんな天国なの。お口いっぱいのカリカリってすごくすごくおいしそうなんだけど。
「はわわ、オレの昼ごはん!」
カランってお皿が机の上に落ちた。学食の皆と違って、オレの皿は自前でメラミンで出来てるから、割れなくて良かった。いや、そんなのどうでもいいんだけど、とにかく、大切なのはオレのカリカリだよ。
オレのお昼ごはんがっ!なくなったってことだよ!
「わああああ」
叫びながら立ち上がったオレの前でがっくんって中虎くんが膝をつく。え、どうしたの、そんなに、おいしかったの。真っ青な顔にものすごく怖い顔を貼りつけて中虎くんがオレを睨んだ。
そうか、そんなにおいしかったんだね。そうだよな、カリカリはわんこの正義だよな。例えそれが穀物たっぷりのダイエット用カリカリだったとしても。
ああ、でも、どうしよう。オレの昼飯が……ぐうってお腹が鳴った。
最初のコメントを投稿しよう!