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僕は……棺桶の中に横たわるヒトシくんの前で、楽しそうに笑う遺影を見つめていた。
「ヒトシくん……ごめんね。僕……遊んであげれば良かったね」
僕もまた……学校ではいじめられている。
だから……もっといじめられる事を恐れて、ヒトシくんにはあまり近付かなかったのだ。
僕は……お葬式が終わり、家に戻った。
明日になったら……ヒトシくんがいないから、僕へのいじめは酷くなるだろう。
僕も……死んでしまいたかった。
その日の夜……僕は机に向かい、ランドセルの中から教科書を取り出した。
表紙も中身もボロボロの、カッターナイフで切り刻まれた教科書を。
ノートには、表紙に大きく「死ね」と書いてある。
ヒサシ、ユウヤ、コウジの三人。
やつらが僕の教科書やノートをこんなにし、ヒトシくんを死に追いやったのだ。
「くそっ……あんなやつら死ねばいいのに」
僕はノートに書かれた文字を見ながら、使わなくなった短い鉛筆をボキッと折り、ゴミ箱に投げつける。
僕の名前……タムラナオヤという文字もマジックで塗り潰されて……消えていた。
明日になれば……僕はヒトシくんがされていたようにいじめられるかもしれない。
トイレに連れ込まれて、便器を舐めさせられたり、裸で廊下を走らされたり……。
嫌だ!!
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