カンケリ

3/30
前へ
/92ページ
次へ
僕は……棺桶の中に横たわるヒトシくんの前で、楽しそうに笑う遺影を見つめていた。 「ヒトシくん……ごめんね。僕……遊んであげれば良かったね」 僕もまた……学校ではいじめられている。 だから……もっといじめられる事を恐れて、ヒトシくんにはあまり近付かなかったのだ。 僕は……お葬式が終わり、家に戻った。 明日になったら……ヒトシくんがいないから、僕へのいじめは酷くなるだろう。 僕も……死んでしまいたかった。 その日の夜……僕は机に向かい、ランドセルの中から教科書を取り出した。 表紙も中身もボロボロの、カッターナイフで切り刻まれた教科書を。 ノートには、表紙に大きく「死ね」と書いてある。 ヒサシ、ユウヤ、コウジの三人。 やつらが僕の教科書やノートをこんなにし、ヒトシくんを死に追いやったのだ。 「くそっ……あんなやつら死ねばいいのに」 僕はノートに書かれた文字を見ながら、使わなくなった短い鉛筆をボキッと折り、ゴミ箱に投げつける。 僕の名前……タムラナオヤという文字もマジックで塗り潰されて……消えていた。 明日になれば……僕はヒトシくんがされていたようにいじめられるかもしれない。 トイレに連れ込まれて、便器を舐めさせられたり、裸で廊下を走らされたり……。 嫌だ!!
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加