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しかし、その窓の向こう……薄いガラスを一枚隔てたその先に……脳をダラリと垂らした状態のヒトシくんが……立っていた。
「あ……あわ……」
ヒトシくんのその姿に、僕は声も出せず……ただ立ち尽くすしかなかった。
膝はガクガクと震え、口の中はカラカラに渇いている。
「ナオヤくん、皆で遊ぼうよ」
血まみれの顔で、僕を見つめてニヤリと笑みを浮かべるヒトシくん。
嫌だ……確かに、ヒトシくんと遊んであげれば~って思っていたけれど……。
これは僕が思っていたような事とは違う。
僕は、今開けたばかりのカーテンの端を持ち、再び勢いよく引いた。
カーテンと窓ガラスに阻まれ、外からガラスをバンバンと叩く音が聞こえる。
一体……どうなってるんだこれ……。
何で僕の所にヒトシくんが?
恨むなら……ヒサシ達だろう。
ジリジリと後退しながら窓から離れる。
どうすれば帰ってくれるのだろうか……。
窓からそっと視線を反らして振り返った。
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