第一章「鳥にエサをやらないでください。」

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俺は自分なりに、謎の解明を始めた。 でもそれはマスターも廉次も同じで、デットヒートは確実だった。 全く気にしてない彩子は、コンゴウインコの呼び名を考えていた。 「マスター、ほんとに名前、無いんですか?」 「それはわからないんだそうだ。 だから、いつまでもインコって呼んでてもね。 彩子ちゃんが決めていいよ。」 「責任重大だなあ!」 トリネコは彩子が上の空でえさ箱を交換しているのがわかって 怒っている。 くちばしで、彩子の指を噛もうとするのだ。 「あ、ごめん・・・ねえ、トリネコ。 あのインコの名前なんにしようか?」 「ばーかばーか!ばーか!」 「そんなに怒らないでよ。」 「いんこばーか!」 「ばーか、じゃないよ。 トリネコとおんなじで、飼い主さんが亡くなったんだよ。」 「トリネコかわいい。」 「うんうん、かわいいね。」 常連のナイスミドル(死語の世界かい!)な男性が、彩子に言った。 「女優さんの有名な役の名前でもいいなら、つけてあげようか?」 「役の名前!いいですね!」 「確か、コゼットだったよ。」 「へえ!そっか、じゃあ、コゼットちゃん! あなたは今日からコゼットね。」 インコは首を傾けるような仕草をした。 「コゼット・・・コゼットいいこいいこ」 「え?今、しゃべったよ??」 マスターが、すぐにかごに駆け寄った。 「なんて言った?」 「コゼットいいこいいこって・・・」 マスターが大きくうなずいた。 「なるほど! コゼットというのは、本当にこの鳥の名前だったのかもしれない!」
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