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「その後、主人公は牧師に助けられて、まったく違う人生を歩み出して、民衆に慕われる市長になってね。
その時に、貧しく虐げられどん底にいた女性の子どもを助けるんだ。
それがコゼットだよ。」
「凄い話ですね、それ。」
この話のコゼットと、あの鳥の名前はどう繋がるんだろう?
「最後はコゼットは幸せな結婚をするんだが。
きっと女優の広崎さんはあの役が好きだったんだろうね。」
「そうなんでしょうね。」
カララン・・・
「いらっしゃい。」
女子高校生がすっかり慣れた雰囲気で、カウンター席に座った。
「アイスミルクティー。」
「はい。」
俺は、途端に動悸が激しくなったので、思わずコップの水を飲んだ。
PCに隠れるようにしていたが、女子高生はあっという間に俺の傍に来た。
「えーっと、お名前教えてもらってなかった。」
「あ、はい。
紺屋 士気です、コウヤって呼ばれてます。」
「こうやさん、鳥のこと、何かわかった?」
「ええ、名前・・・」
彼女の声が響き渡った。
「名前~~~~~?!
まさか、あの鳥の名前??」
「ええ、あのコゼットって言うらしいです。」
「どうやって調べたの?
あのウェイトレスさん?」
それで俺は説明した。
「凄いわ!
ママも私も、1年調べたのに、それに名前も、色々調べたのに!
これはママに知らせなきゃ!
で、他には?」
なんだか彼女の勢いに呑まれそうだ。
「アイスティー、ここに置くね。」
マスターが助け舟を出してくれて、俺はやっと船につかまった。
彼女はしぶしぶ、カウンターに戻った。
「凄い、マスター!
マスターのお客様ってなんでも知ってる人が多いのね!」
「そうね。」
「じゃあ、そのコゼットがどんな娘かわかってるのよね?
謎解きはマスターが一抜け?凄い~~~!」
「いや、それはまだだね。」
「ふうん・・・
早速ママにメールしなきゃ。」
籠を持って彩子が現れると、真美はすぐにインコに話しかけた。
「コゼット、教えてよ!
宝物はどこ?」
インコは首を捻るばかりだった。
「コゼット、いいものあげるから教えて!
えさが欲しいの?おもちゃかな?」
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