第二章 「 女優の過去 」

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俺と彩子はどれぐらいそこで探していただろうか。 すっかり公園は暗くなってきた。 「俺、一回店に戻るよ。 マスターにここに隠れているって言ってくるから。」 「わかりました、お願いします。」 「みみずくちゃん、大丈夫だよ、コゼットは鳥目だからみみずくちゃんになら見つけられるから。」 「うん・・・」 すっかり意気消沈していて、どう励ましていいのかわからなかった。 俺が店に帰ると、マスターが今日は早仕舞いするからと言った。 「私も行きます。 案内してくれますか?」 真美は神妙な顔で、ママもじきに来ると言った。 「ごめんなさい・・・ママには私が悪いって言ってあります。 コゼット、見つけてください、お願いします。」 頭を深々と下げて、真美は俺に謝った。 「いいや、俺じゃなくて後で彩子さんに謝ってね。」 「はい。」 マスターと俺は急いで公園に来た。 「コゼット!!どこだー?」 「あ、マスター!! まだ隠れてて・・・出てこないんです。 きっと怖がっているんだわ。」 「インコばーーーーかばーーーーか!! インコばーか!」 「あ、トリネコ?!」 ばさっ!! マスターはトリネコの足に紐をつけて、公園で放した。 「インコばーか!コゼットばーーーか!!」 ギャー・・・ 大きな木の上の枝が揺れた。 トリネコは、さーーーーーっと飛び上がると、コゼットコゼットと大きな声で鳴いた。 「トリネコかわいい。」 「コゼットいいこいいこ。」 「コゼットばーか!ばーかばーか!」 「コゼットいいこ!」 バサバサバサッ・・・ 「トリネコ!!コゼット!!」 2羽は、木の枝から飛んで、ベンチの背もたれにとまった。 「トリネコ、えらい!!コゼット連れてきてくれたね!!」 「さえこばーかばーか!!」 「うんうん、うんうん。」 「ばーかばーか、トリネコえらい」 「うんうん、おやつあげる。」 「トリネコかわいい。」 「うんうん、一番かわいいよ!」 彩子はわんわん泣いていた。 「良かった~~~~~~~!!ふたりとも、いいこいいこね!!」
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