第二章 「 女優の過去 」

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思いもよらないトリネコの活躍で、コゼットはまた籠に入って店へと戻ることが出来た。 俺は、いつものトリネコの言葉が、なんだかおかしくってひとりで笑っていた。 店の前に、先崎親子が待っていた。 「見つかったんですか?良かった!! ほら、やっぱりさすがマスターは、鳥のことがわかってるのね!」 「ママ、少しだけ黙ってて。 彩子さん、マスター、それにこうやさん、 ごめんなさい、私の不注意で こんな大変なことになっちゃって。」 彩子が真美に籠を見せながら言った。 「真美さん、この子ね、トリネコが連れてきてくれたのよ! きっとね、初めての鳥の仲間だったのね。 コゼットが戻ってくれて、私も嬉しい。 真美さんも嬉しいよね。」 真美はその言葉に、緊張が解けたように顔を手で覆った。 「ごめんなさい、私・・・私ね、少しだけ世話したから 慣れてるから大丈夫って思っちゃったんだ・・・ ・・・コゼットが外に逃げた時、心臓が止まるかと思った。 もう、私、カフェにいかないことにする。 だから許してください。」 母親は驚いたように真美の背中をさすった。 「どうしてそんなに謝るの?大丈夫よ、私がマスターにお願いしたんだから。 お母さんが謝るからね。」 「先崎さん、お嬢さんの気持ちをもう少し、わかってあげてください。 きちんと謝ってくれて、嬉しいですよ。 さて、これでその話は終わり。 いつでもカフェに来てください、お客様が増えると、この子達のえさ代が助かるんです。 それじゃ、コウヤさん、遅くなったので車で送りますよ。 皆さん、どうぞお気をつけてお帰りください。」 彩子はにこにこと笑いながら、お店の中へ鳥達を連れていった。 俺も、すーっと心が晴れるのを感じた。 皆がそれぞれ帰路について、俺はマスターのお言葉に甘えて車に乗せてもらった。
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