第二章 「 女優の過去 」

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マスターは車を走らせながら、俺に言った。 「お客様にまで、手伝ってもらって、なんというか・・・ 本当に助かりました。 彩子も、心強かったろうと思います。」 俺はマスターにさりげなく聞いてみた。 「マスターは、彩子さんのこと、その・・・ どう思ってます?」 「そうですねえ・・・彼女はそういうタイプじゃないんですよ。」 「はは、わかります!鳥が恋人ですもんね!」 「ははは、そうなんですよ、皆さんよくわかっててね。」 「実は俺、彩子さんに癒されてます。」 「困りましたね、あの子にそれが通じるといいんですが。」 「いや、きっと、わからないと思います。」 まだ俺は興奮してるんだろうと思う。 冷静に考えて、俺は今日初めて行動したことで、いっぱいいっぱいだったんだから。 彼女が鳥に夢中になってることで、今更ショックとか言うのもおかしな話なんだが。 「マスターはいいですね、いつも彩子さんと一緒だから。」 なんだか俺はいじけてるのかな? 「そうですね、でも案外」 「あ、そこの角です、ありがとうございます!」 キキーーーーッ 「ありがとうございました、おやすみなさい。」 マスターはちょっと会釈をして、すぐに車を発進させた。 今日は興奮して眠れないかもしれないな、と思いながら、アパートのドアを開けた。 頭の中で、トリネコとコゼットが仲良く彩子を囲んでしゃべっている。 さいこ、ばーか、コゼットばーか、コゼットいいこいいいこ・・・ 会話にならない会話が、俺の頭の中で響いていた。
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