第二章 「 女優の過去 」

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第二章 「 女優の過去 」

よたろーTVで、 編集局長 介殻 廉次は過去の女優Hのニュースフィルムや 舞台、映画など、少しでもマスコミに出ていた記事、映像を拾い集めていた。 女優H・・・広崎 遼子 (ひろさき りょうこ)     本名 廣澤 和子 (ひろさわ かずこ) 若い頃のスキャンダルは、舞台での共演者が多く、誰とも結婚しなかった ことから、永遠の処女、淑女女優など失礼な見出しも散見された。 「ほんとに調べてるんですね!」 廉次の隠密行動を不審に思っていたディレクターが、ダンボール一杯のビデオを見て、言った。 「噂の遺産、出てくると思います?」 「どうかな。 噂、だよ、噂。 そんなことより、もうすぐ秘境の鳥番組、オンエアするんだよな?」 「まだ、1週間ありますけどね。」 「余裕だなおい!うちみたいな弱小TV局は、こういうのが宣伝になる だからな!ヘマやらかすなよ!」 「はい、わかりました。 局長、こっちも番組作るんですか?」 「ふん・・・こっちはちょいちょい文句がでそうでな。 試行錯誤中だよ。」 「文句?ああ、弁護士ですか?」 「鳥の弁護士だよ。 こっちはいいから、持ち場に戻れ!」 廉次はひとり、女優広崎の記事を読みながら、古い記事内容からまとめを作っていく。 つい独り言がでていた。 「けっこうやばいわ、この量・・・」 昔のビデオは画像が乱れていたが、なによりスキャンダルになりづらい国民的女優だったから、ちょっとした映像なのにタイトルで煽っている そんな番組ばかりだったのだ。  
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