第1章

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僕は諦めてアパートに帰る。 部屋に入り、電灯もつけずに部屋を眺める。 何が明るさを持っているのか、部屋は暗いにもかかわらず、それでも何があるのかは見てとれた。 誰もいない部屋の空気は冷えきっていて寒い。 僕は着ていたコートを脱いでベッドの上に放り投げると、ベッドに潜り込んだ。 布団を頭から被る。 布団もひんやりと冷たかったけど、しばらくすれば温まるだろう。 目をつぶって考える。 「ホントウの暗闇」はどこにあるんだろう? いや、「心の闇」とかそういうんじゃなくて。 そういうんじゃなくて、僕はこの目で見れる「ホントウの暗闇」を見てみたいんだ。 布団が身体の熱で温まってくる。 暖かい。 このまま眠ってしまうのもいいかもしれない。
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