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2日目……
響は仕事に出る準備をしていた。
時刻は3時……
今からラジオの放送がある。
週に一度自分が出演する日だ。
いつもより念入りに歯磨きをした。
下の階から子供達の賑やかな声が響く。
響
『学校から帰る時間かぁ…』
住む所が変わったからその生活音も変わる。
賑やかな時間だな……
そんな楽しい声とは逆に
いつも聞いているあの母親を探す子供の声が混ざる。
響
『あの子いつも母親を探してるんだよね…結構小さいのに母親はどこに行くんだろ……』
響は独り言を呟く。
自分も子供の頃母親も働きに出ていたが…
それは、もぅ小学生も高学年だった…
小さい兄弟の声……
響はやけに耳に残る
そう感じた。
部屋の窓から下を覗く。
雨も降っていないのに
黄色い傘にカッパ姿が見えた……
響
『あの子達かな……あっ!ヤベッ!!遅刻しちゃうな』
慌ててジャケットを羽織
玄関に向かう。
階段を駆け降りた。
さっき見掛けた黄色い傘の子供の横を走り抜けた。
響はその時はスッカリ忘れていた。
今日はラジオで今の部屋の話をするつもりだった。
リスナーからの反応が楽しみだったし、以前の住人から話を聞けたらと考えていた。
家から仕事場まで電車で1駅
今の響には引越は大正解だった。
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