第1章

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二〇一五年十一月十一日午後十一時二十分 僕のメールがなんだかおかしい。通常のアイコンならば、白い手紙で背景が青いはずなのに、今日は違う。灰色の背景に青い手紙。なんとも変な色合いで、スマートフォンの中で最も目立っている。 「なんだ? 変なアイコンがある……」 僕は興味を持つと、関心を示さずにはいられない。 これは例え話だが、爆弾のスイッチがあったとしよう。爆弾が親友である佑都の下にあって「押すな」と言われていても、ついつい押したくなる。「このボタンは実は嘘じゃないのか」「エンターテインメントだろ」と。ボタンを押したあとの話は考えない。 話を戻そう。僕は変なメールのアイコンに触れていた。すると特に変わった様子のないメール画面が開く。 「佑都からだ」 佑都からメールが届いている。アイコンの右上に数字がなかったので未読メールはないと思っていたが……。このアイコンのせいだろうか。 メールを開く。 「件名なし」 かこめーる 2017 5/11 送信 iPhoneから送信 「なんだ、これ? 文字化け……にしては日本語っぽいし……。いたずらだな」 いきなり「かこめーる」と言われましても、意味わからんから返信できない。しかし、メールをしばらく見ていると、変な気持ちになってきた。変な気持というのは、やましい方向ではない。違和感だ。 「今日は二〇一五年の十一月十一日だよな……。なんでこんなこと……」 すると「ツポーン」と携帯が手の中で震えて、メールが来たことを告げる。気のせいか、振動の時間が長いように感じた。 「件名なし」 やべぇよ。未来の俺から連絡きた! 2015 11/22 送信 今度は「iPhoneから送信」がない文が来た。というより、佑都は自作自演して何が楽しのだろうか。とりあえず「自作自演乙」と送っておいた。 今日はもう寝ることとしよう。なんだか疲れた……。
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