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揺すっても目を覚まさず……なんて事もなく、俺の呼び掛けに、クーゲルはゆっくりと目を開けた。
「…………ここは」
「よお、もう朝だぜ」
「ッ!!」
クーゲルでさえ、他の奴らと同じような反応で俺を見あげた。
いい加減それも飽きてきたぞ。
「ゲン……貴方は……いえ。そんなことより」
クーゲルは、俺の隣に佇むエクートに視線を移す。エクートは、やたら真面目な顔つきで、黙ったまま頷いた。夫婦間の暗黙の了解ってやつだろうか。
「……シャルエ、貴女は?」
「ボクは、今のところ何もないよ。でも……少し思い出したことがあるんだ。“魔王さん”」
その言葉を聞いたクーゲルが、少しだけ苦しそうに顔をしかめた。
「そうですか……では、まだ半分と言ったところでしょうか」
「おい、俺を置いてきぼりにするなよ。何の話だ?」
「その話はいずれまとめてお話しします。それよりも今は、早急に対策を練らなければ……」
俺の知らない所で、何だかオオゴトになっているらしい。
朝早くから駆り出されて、挙げ句の果てに話題から置いてきぼりにされる俺の身にもなって欲しい。が、クーゲルがいずれ話すと言っているんだから、今はその言葉を信じて待つしかない。
俺がジロジロと見られている理由も、きちんと説明してくれるはずだ。
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