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結婚式を終えて新婚生活に入ったが、私はひろくんと母に相談して、父の病院に通わせてもらうことにした。
ひろくんも母も、何の抵抗もなく許してくれた。
父は日増しに衰弱していった。
私は、15年間の思いをぶつけるように、父とたくさん話をした。
小学校6年生の時から結婚するまでの出来事を、私は父にすべて伝えたかった。
しかし、私は献身的に父の身の回りの世話をしたが、そのかいもなく父は半年後に他界した。
父は、母と離婚してから1人になって、大切な家族を失ったことを、とても後悔していると話してくれた。
父は、家族のためだと思って一生懸命仕事をしたが、結果的に家族を失ってしまい、自分は何のために仕事をしているのか見失ったこともあるようだ。
私は、父も悩んでいたことを知ることができ、父のことを誤解していたことに気付くことができた。
私は、父と再会させてくれたひろくんに、心から感謝した。
最後の半年間、父と一緒に過ごせたことを、私はとても幸せに思った。
もし、結婚式前日の不思議なメールがなければ、私は意地を張って、父と会っていなかったかもしれない。
それから毎年、私は父の命日には、お墓参りすることにした。
毎年ひろくんも一緒にお墓参りをしてくれた。
私にとっては、世界にたった1人しかいない父のことを、これからも忘れないよう心にしまっておこうと思った。
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